99年の愛・日系アメリカ人家族の歴史
先週、TVで「99年の愛・日系アメリカ人家族の歴史」が5夜連続放映された。戦前に渡米した日系1世家族の逞しく生きて家族愛、絆が戦争を通して描かれた感動のドラマであった。
筆者が35年前に渡米し、アメリカ独立200年祭の前年にバスで大陸を旅していた頃を思い出した。イーグルスが歌う「ホテル・カリフォルニア」が街中のどこかで流れていた。
途中で立ち寄ったサンフランシスコのダウンタウンで何と訪米していた昭和天皇の親善パレードに出くわした。歓迎の日の丸の小旗が沿道から波のように振られていた。ふと横を見ると日系1世の老婦人達が小旗を振りながらハンカチで目がしらを抑えながら泣いていた。筆者もその老婦人達の姿を見て涙が止まらなくなった。渡米してからの多くの苦労を思い出し、この場での望郷の念を抑えきれなかったのであろう。あの時は自分も日本人であることに浸った懐かしい情景だった。
TVを見て、ふとアメリカで知り合った日系3世の女子学生の言葉が蘇ってきた「私達、日系人はこの国で差別を受けつづけてきた。貴方達、日本の留学生には私達の苦労は分からない」筆者は言い返した「過去の被害者意識ばかりに覆われ、嘆くばかりで何故、この地で自分達の未来を創り出そうはしないのか?」今振り返るとひどいことを言ってしまった。ただ黙って彼女の話を聞くことがほんとうの優しさであった。
日本に原爆を落とした大国、善良なアメリカ人、確かにアメリカの良心(光)と差別の歴史(影)があった。ドラマを見ながらそう感じた。そう思いながら日本人であることの誇り、国とは、人間の尊厳とは何かを静かに考えてみた。最後に感じたことは「家族との絆、家族はいつも温かく迎えてくれる心の故郷である」ことであった。心に染みた夜更けの初秋のひとときであった。
2010/11/11 Thurs
消費税10%-この国の行方は?
先月の参議院選挙では、民主党が敗北した。その敗北の原因は、やはり「管総理の消費税10%失言」であろう。何のために消費税を10%にする必要があるのか?目標ばかりが先行して、その意義、目的の説明が不十分であり、また説明するタイミングにも、国民の反発があったのかも知れない。この国の行方はどうなるのか?国と地方の借金合わせて約1000兆国家予算の増加に対し、税収の不足を国債発行で補っている。この現状を会社経営に置き換えると窮地に瀕している状況であろう。
国内の輸出総額からの視点では、昨年秋から回復基調であるが不況前の85億の水準に戻るには後1年以上はかかる見通しである。加えて円高のため貿易収支は万全とは言えない。デフレスパイラルまだ続くと見た方がいいかも知れない。さてさて、この国の行方は一体どうなるのか?
このような状況下では野球で言えば、優先すべきは攻撃(生産性)よりも、守り(ムダのない効率性)を基軸にした考え方が堅実であろう。では、ムダのない効率性をどう実現していくのか?全体からムダをどう測定していくのか?その考え方は事業仕訳のように全体最適(森)も見て部分(木)も見ることで全体のムダを測定し、部分のムダを切り取っていくことに他ならない。このムダな時間を測定してコスト換算していく仕組みが今後ますます市場から求められる。
この国の行方を考えると、国家の計を十分立て「消費税10%のシュミレーションとムダの測定、削減」を同時並行していくべきであろう。
2010/08/06 Fri
全体最適と部分最適
ワールドカップでは日本代表チームの健闘空しく惜敗に終わり筆者も
とても残念な気持ちでいっぱいである。だが戦うごとにチームが良く
まとまっていったのは誰の目にもよく分かった。
岡田監督が現地で「このチームにはスター選手はいないのでチーム力で
勝ち上がっていきたい」と確かコメントしていたのを思い出した。
優れたスター選手が複数いれば強いチームかもしれないが必ず勝つという
保障はない。サッカーはチームプレーによる組織力により勝ち抜く「個人技
と組織力によるスポーツ」であるからだ。個々の選手が優れている部分最適
のチームが組織力に優れた全体最適のチームに敗れることもある。
だからサッカーは面白い。
ビジネスの世界でも、このようなことはよくある話だ。「木も見て森を見る」
というように森という全体が見え、全体を構成している木々の存在が見える。
木の方から森(全体)が見えない状況を会社組織に置き換えると「A部署」
と「B部署」の現場からは全体を統括する会社の経営管理層の状況が見えず、
現場と経営管理層との連携が噛み合わない。そのため課題の情報共有やムダ
を取り除く効率化が出来ず、成果が上がらない状況が続く。
現場だけで見ると、部分と部分の最適性は保たれているが、全体から見れば
最適性は保たれていない「では、このギャップを埋めていくににはどうするか?」
大きく全体から見るシステムと仕組みがないと、人(部分最適)と組織(全体最適)
はまとまらない。
今後の日本代表チームが、組織(全体最適)から人(部分最適)が見えて「人と組織をつなぐ」効率化のためのシステム向上に期待したいものである。
2010/07/01 Thu
プロジェクトリーダーの育成
中国で国の威信をかけた国家プロジェクト「上海万博」が、いよいよ5月から
開催される。基幹産業である自動車産業の日中の比較をすると、日本での
自動車の普及率は60%で約7000万台に対し、中国は3.5%で約4000万台である。
普及率は3年先には10%に達すると見込まれ、世界の自動車大国になる勢いだ。
何故、中国が10%前後の高度成長化を、過去10年間も続けられてきたのか?
それは、拡大スピードの基盤を支えるプロジェクトリーダーの育成に国家が
総力を注いできたからだ。中国では100を超える大学でPM(プロジェクト
マネジメント)学科をつくり、経済成長のスピードに沿ったプロジェクト
リーダーの育成を行ってきた。そこで育ったリーダーが今の中国の高度
成長化の基盤になっている。
では、日本でのプロジェクトリーダー育成の現状はどうか?
現状のプロジェクトの数は増加しているにもかかわらず、果たして、プロジェ
クトリーダーの育成が行われてきたのだろうか?はなはだ疑問である。
特にIT業界では、プロジェクトの成果物が可視化しにくいので管理手法が
問われるところだ。プロジェクトリーダーにとって現場の状況分析が定量的に
グラフ表示等で簡単に把握できる管理ツールがあれば大変楽になる。
今後、プロジェクト進捗管理、課題のPDCA対策等、プロジェクトリーダーの仕事
をサポートできるプロジェクトリーダーが、ますます重要になっていくことは、疑う余地もない。
2010/04/08 Thu
正しい判断とは- 「信憑性のある分析データの必要性」
バンクーバーで開催された冬期オリンピックも閉会式を迎えた。
話題はなんといってもキムヨナと浅田真央の対決だった。
真央ちゃんの銀メダルはとても残念であったが、
問題はその点差が正当なものだったかどうかである。
ショートプログラムで真央ちゃんは女子では初のトリプル
アクセル成功という快挙を成し遂げたにもかかわらず
ショートプログラムでは約5点近くキムヨナに
差をつけられた。見ている私たちにはその5点
は納得のいくものではない。
定性情報を客観的に審査しているそうだが
100%客観的な審判ではないように見える。
プロジェクト管理も同様に、客観の中にあるグ
レーに近い主観を排除して、納得のいく客観的
情報を提供しなくてはならない。すなわち信憑
性のある分析データに基づき正しい判断ができ
るか否かがポイントになる。
主観の割合をゼロに近づけ客観的なデータを得る
ためには「信憑性ある分析データの必要性」が、さらに求められるであろう。
2010/03/01 Mon
1時間当たりの賃金の価値とは・・・
確か昨年だったと思うが「政府が労働者の最低賃金を時給千円に引き上げる
ことを検討している」という新聞の記事が目に留まった。
賃金を上げることによって格差社会を無くす意図であるかも知れない。
しかし、経営者の視点に立つと、時給千円相当額に値する業務内容であるか
否かの業務品質、生産性の基準を定めないままに推移すると企業の死活問題に
まで発展する。
その結果、企業は国内労働市場から、国内より賃金の安いアジア労働市場へと
さらにシフトしていくことが予想される。
時給千円以下の労働者が時給相当のレベルに引き上げるために企業も労働者も
大変な努力が必要になるであろう。
はたして、現実の問題として、どうやって、そのバランスを保つのであろうか?
企業がやるべきことは、時給千円に相当する業務内容に対する生産性の基準を定め
ることである。企業には1時間当たりにかかる業務時間を業務毎に見積り、標準化
していく仕組みが必要である。
各業務時間の1時間当たりの賃金の価値を測る「時間のものさし」が必要となる。
2010/02/09 Tue