社長コラム

Stay foolish

「一口吸尽西江水」という禅の言葉がある。できるか、できないかの常識・分別を超えた世界のことだそうだ。禅を信仰していたスティーブ・ジョブスの「Stay foolish」の言葉の意味することは「一口吸尽西江水」ではないだろうか?

 

その言葉のあとに「洛陽牡丹新吐蘂」という句が続く。なにもない無の状態から、すべての事態をのみこんだ後、すばらしい花が咲くという意味だ。独創的な製品を世に生み出してきたスティーブ・ジョブスはみごと「一口吸尽西江水 洛陽牡丹新吐蘂」を実践した人物だった。だから人々はみな彼の死を悼むのであろう。
その境地に達することはなかなか出来ることではないが、時に日常の煩悩を超え、空想でもいい、創造の世界に浸ってみたい。それまで見えなかった違う景色が広がるかもしれない。余談だが、日本の茶道の先人千利休もこの句によって悟りを開いたそうだ。

 

今、不況に喘ぐ我が国の企業は、製品を生み出すにあたり、大変な苦労と楽しみがある。ものづくりには困難が伴うが楽しさもある。日本がものづくりによって国難を乗り切ることを切に願う。

平成23年11月1日

 

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら」がアニメ化されるそうだ。高校野球のチームに起きる日常の課題に対し、ドラッカー理論のストーリー展開は興味深いものがある。

 

高校野球の女子マネージャーをマネジメント(経営管理)と結びつけた視点はとてもユニークで一般の人でもマネジメントして成果を出すことができることを示している。

 

野球でのチーム力はポジション(役割)があり全員で行う。会社も同じである。一人一人が情報という自分が球を投げる投手(当事者)であることを自覚することが前提となる。

 

会社でも周りの状況が見えずに仕事をしている人がいる。周りの状況把握をシステム化(仕組み)する必要がある。

 

数多くの失敗を成功につなげるPDCAマネジメントサイクルは個々のプレーヤーの自立と責任(セルフマネジマント・セルフモチベーション)が求められる。そして、その実行プロセスには、何よりも素直さと真摯さが大切である。

 

野球でいう各ポジション(役割)とポジション(役割)の隙間の原因であるコミュニケーションの改善は、会社の業績につなげるためのシステム(仕組み)そのものである。

平成23年3月10日

 

駅伝という全体最適

新春恒例の第87回箱根駅伝では、早稲田大学が18年ぶりに優勝した。筆者も古豪早稲田の一ファンとして今回の復活をとても喜んでいる。

 

駅伝は、一つのタスキ各区間毎の選手に繋いでゴールを目指す団体競技である。優れた個人の選手が区間トップの記録を出しても優勝するとは限らない。部分最適が良くても全体最適が悪ければ勝利しないからだ。

 

<A>

レースで予定が崩れて筋書きのないドラマが突如として起きることもたまにある。見えないリスクを、事前にバッファ(予備時間)としてどう取っていくのか?

<B>

また各チームの監督やコーチは、自チームのゴールまでの目標タイム(予定)レースプランをどう設定するのであろうか?

<C>

調子が悪く予定していた目標時間に対し、大きく届かなかった区間があると、ゴール予想タイムをどのようにして修正していくのであろうか?興味はつきない。

 

<A>に対しては各区間毎にバッファー(予備時間)を取るのではなくゴールまでの予想タイムにバッファーを加え全体管理していた方が管理しやすい。

 

<B>に対しては各チームとも区間を委ねた全選手の過去の実績記録から全体のゴール予想タイムを割り出し、最初に全体最適目標タイム(予定)からみて各区間の部分最適目標タイムを設定すれば整合性が保たれる。

 

目標タイムは過去の経験があれば経験値に基き立てやすいが無いとやっかいである。何らかの指標に基づいて目標を設定する必要がある(標準化=標準タイムの設定)

 

<C>に対しては現況からゴール着地点までをグラフで順調・注意・危険の3段階で予測管理していくことが望ましい。

 

駅伝(プロジェクト)という全体最適は、ビジネスの世界で日々起きている課題と本質は全く同じである。①予定をどう立てるか?②予定どおりいかない場合のバッファーの備蓄③予定と実績の差をどう埋めていくか?④ゴール着地点予測

 

これらの全体最適という視点で駅伝を見ていくのも、また面白い。

平成23年1月7日